現場の知恵を活かす方法の一つに、社内からの提案を受け付けることがあります。社内からの提案が効果的に運用されているのも、機能する組織運営にとって必要な要素の一つです。
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提案を歓迎する
社内からの提案を受け付ける仕組みがあっても、実際に提案が上がって来ない会社が多くあります。仕組みを作った当初、あるいは働きかければ提案が上がって来るかもしれません。しかし、提案が当たり前のように上がって来る会社は少ないようです。
提案を促進する上で、まずお勧めしているのは、提案を歓迎することです。
社内から提案が上がって来たら、感謝と喜びを伝えましょう。そこで大切なのは、きちんと相手に伝わるように伝えることです。
提案を受け取る立場の人も忙しいと思います。ちらっと見て、後で見るから置いておいて、などと言ってはいけません。それでは感謝と喜びは伝わりません。提案のためにかけた労力と時間を労い、感謝を伝えることが、提案を歓迎していることを伝えるために必要なことです。
提案に真摯に対応する
提案を歓迎していることを伝えることは必要ですが、十分ではありません。上がって来た提案に対し、真摯に対応することも大切です。
まず、提案の中身をしっかりと理解しようとすることです。提案内容が口頭の説明や文書で全て分かるわけではありません。読んだり聞いた上で、内容を正しく理解出来ているかどうか確認することが必要です。そして、説明が不十分な所があれば質問して補足することも必要です。
そして、受け取った提案は漏れなく検討し、その結果を本人に伝えることが大切です。提案が上がらなくなる原因で一番多いのが、上げた提案が放置されていることです。提案が採用されたのか、却下されたのか伝えられなければ、そもそも検討されたかどうかも分かりません。特に却下する場合は、その理由も含めて本人に説明することが重要です。
提案することは安心ではない
社員が積極的に提案しない理由は、負担が大きいことだけではありません。実は、本音では、提案することはリスクが高いと思っている社員が多いことも主な理由です。
提案内容が低く評価されることで、能力の評価が低くなるリスクがあります。提案が採用されて、期待された結果が出なければ、マイナスの評価を受けるリスクがあります。提案が採用された場合、実行に関わるのは良いのですが、業務上の負荷が大きくなり過ぎるほどの役割を担わされるリスクもあります。つまり、言い出しっぺが損をする可能性が高いと思う人が多いのです。
提案を促進するには、これらの提案することに伴う不利益を取り除くことが重要です。中でも、マイナスの評価を受けるリスクについての配慮は、いくらしてもし過ぎることはありません。社員はマイナスの評価を受けることを恐れるものです。マイナスの評価を受けるリスクがあれば、提案することは社員にとって安心なことではありません。社員にとって安心であることの優先順位が高いことを理解し、受け入れて対応しなくてはならないのです。
提案を促進して活かす
現場には情報も、日々の業務の中で培われた知恵もあります。人材活用の観点から、現場から提案は、それらを会社のために生かすために重要です。
そして現場から提案が上がることは人材育成においても効果的です。提案に真摯に対応すれば、提案毎に採用、不採用の結果と共に理由を説明することになります。特に提案が不採用になった場合は、
- 会社の方針との整合性
- 実行可能性の問題点
- 実効可能性の問題点
- 論理上の問題点
などを具体的に指摘し、説明することになります。その結果、次の提案は、より質の高いものになる可能性が高いです。つまり提案は、社員にとって学びの機会としても活用出来るのです。
社内からの提案は簡単に上がって来ません。しかし現場の知恵を活かし、人材を育成するためにも効果的です。安心感を与え、真摯に対応するのは手間のかかることです。しかし、提案の促進は、かかる手間以上に取り組む価値のあることです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
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