人を育てることは、人材活用にとって大切です。そして、人の成長について知っておくことは、人を育てる上でも、自分の成長の上でも役に立ちます。
目次
レベルアップには段階がある
能力、知識やスキルなどには初心者から熟練者まで多くのレベルがあります。つまり、レベルは段階的に上げる必要があります。
一番最初の低いレベルでは、何が分からないのかも分かりません。レベルアップしていくと分かることがあります。自分に何が足りないのかが分かるようになります。そして、上には上がいることも分かります。
しかし、レベルアップしていけば全てが分かるわけではありません。あまりに上のレベルの分からないことも多いです。違いは分かっても、何が足りないのかは分からないことが多いです。何が足りないのかが分からなければ、何を学べば良いかも分かりません。レベルは段階的に上がっていかなくてはならないのです。
また、初心者から初級、中級、上級、熟練と上がっていくことは、ただ知識が増えるだけではありません。ビジネスの能力は現場で使えるかどうかで計られます。知っていることと、使えること、さらに使うことで仕事の質やスピードを上げられることは別物です。そこで参考になるのが能の世界で言われている守破離というレベルアップのプロセスの教えです。基本を忠実に守る段階から、基本を破ることで個性を発揮することに取り組み、最後に基本からも個性からも離れたレベルに到達するというプロセスを踏まなくてはならない、という教えです。何よりも基本が大切だということを教えていると同時に、一朝一夕には成長しないと戒めています。
そして、レベルアップのプロセスで、もう一つ知っておくことがあります。それは、単純に努力の積み重ねとレベルアップが単純に連動しないことです。横軸に努力の積み重ね、縦軸をレベルのグラフを書くと、直線にはなりません。しばらくは努力を積み重ねても、ほとんどレベルは上がりません。ところが努力の積み重ねが一定レベルを超えると、突然レベルがアップします。これを繰り返しながらレベルは上がっていきます。このグラフの線を成長曲線と言います。
人の成長には個人差がある
同じようにレベルアップに取り組んでいても、人によってレベルに差が出来ます。そこにはいくつか要因がありますが、その主なものは三つです。
一つ目は資質です。基本的な能力には個人によって違いがあります。ある能力やスキルにとって必要な資質を元々持っていると比較的楽にレベルアップ出来ます。私は例えて、持っている資質でレベルアップ出来てしまう人を天然物、苦労してレベルアップした人を養殖物と呼んでいます。
二つ目は出発点です。人は生まれ持った資質だけでなく、それまでに学んだこと、経験が違います。ある能力やスキル全体ではなくても、必要なことを学んでいたり、経験を積んでいる人もいます。そのような人は出発点が違うので当然、成長は早くなります。
三つ目は学び方です。何かを学ぶ場合、いくつものメソッドがあります。資質または経験に影響で、人によって得意な学び方と苦手な学び方があります。自分に合った学び方で学ぶ方が成長は早くなります。
自分のレベルを自覚しなければ成長出来ない
成長のために能力やレベルアップに取り組む時、注意しなくてはならないことがあります。それは自分のレベルを自覚することです。ところが自分のレベルをきちんと自覚するのは簡単ではありません。
自分が好きなことはレベルが高いと思いたいでしょう。自分が就きたい仕事に必要な能力を持っていると思いたいでしょう。人は好きと得意、希望と現実を混同しやすく、良いように思いたいものです。そのため、実際よりも自己評価が高い人は少なくありません。
実際よりも自己評価が高いと、成果が出ないのは自分の能力やスキルが原因ではないと思いがちです。先ほども書いた通り、実際に成果を出している人との違いも分かりません。
自分の実際のレベルに向き合うのは楽しいことではありません。しかし、自分のレベルを知り、受け入れなくては成長は望めません。
標準的なレベルには誰でも到達出来る
能力やスキルのレベルアップは、資質や経験などによって必要な努力に違いがあります。レベルアップに他の人以上に努力しなくてはならないかもしれませんし、時間がかかるかもしれません。特定の能力やスキルは抜きん出たレベルには到達出来ないかもしれません。しかし、現場で多くの人を指導していて分かったことは、誰でも一般的に業務に必要な標準的なレベルには到達出来るということです。
仕事をする限り、標準的なレベルの能力やスキルが求められます。レベルアップは段階的にしか出来ません。努力してもすぐにレベルアップしない中で、一気にレベルアップする所まで努力を続けるのも苦しいものです。それでも、今のレベルをきちんと認識した上で、取り組まなくてはレベルアップ出来ません。
レベルアップは簡単ではないチャレンジです。レベルアップの定説には厳しい内容も多いでしょう。しかし、定説は受け入れなくてはならない現実です。定説を受け入れ、レベルアップに取り組むことが、 現場力の強い仕事人を育成するために必要なのです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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