コミュニケーションと言うと、伝えることというイメージが強いようです。しかし本来、コミュニケーションは双方向です。
目次
相互理解への順番
コミュニケーションの場面で、人は何を意識しているでしょうか?
自分が伝えたいことを伝えたい!
この意識が強い人がほとんどです。それは相手も同じです。
伝えたいことで頭が一杯の人に、何か伝えようとしても、相手の頭には入りません。このことを説明する時によく使われる喩えがあります。
コップに空きがなければ注いでも入らない
では、コップに空きを作る、頭に情報が入る余裕を作るには、何をすれば良いのでしょうか?
それは、相手の話を先に聞くことです。自分の話を聞いて欲しい気持ちを少し抑えることが効果的です。相手の話を聞いてから聞いてもらうことを意識してみて下さい。
まず自分のことを理解して欲しいと思うのは普通のことです。しかしお互いに理解し合おうと思うならば、まず先に相手のことを理解しようと試みて下さい。相手のことを理解して初めて、相手から理解される機会が得られます。
相互理解に必要なラポール
ラポールはフランス語が語源の心理学の世界でよく使われる言葉で、調和した関係、心が通い合う関係という意味です。人と人との間に生まれる、リラックスした関係や信頼関係を指しています。
相互理解のために、まず相手の話を聞こうとし、相手のことを理解しようとしても、相手が本心を話してくれなければ、相手のことを理解することが出来ません。ところが、誰でも、誰にでも簡単に本音を話すわけではありません。そこで必要なのがラポールです。
ラポールは対話の中で生まれます。この人にならば本音を話しても大丈夫だという安心感や信頼感を感じてもらうことでラポールのレベルが上がります。ラポールのレベルは会話の中のやり取りのたびに上がったり下がったりします。高いレベルのラポールを維持し続けることが、相互理解には必要です。
共感を正しく理解する
同じ出来事や状態に対して、同じ意見や感情を持っている人とは親近感が湧きます。当然、そのような相手とは高いラポールのレベルが築け、相互理解も進みます。同じ意見や感情を持つことは共感です。共感することが人と人との心の距離を近づけることは間違いありません。
ところが共感を意識しても良い人間関係が築けないという声を多く聞きます。それは、なぜでしょうか?
共感を意識している人の多くは、相手の意見や感情と同じ意見や感情を持っていることを伝えようとします。しかし、そもそも人はそれぞれ違います。同じ出来事や状態に対して、違う意見や感情を持つのが当然です。もし、違う意見や感情を持っているのに、相手と同じだと伝えるとどうでしょうか?
厳しい言い方をすれば、嘘をついているのですから、言葉通り信じてもらえないかもしれません。最初は信じてもらえたとしても、途中で本心かどうか不審に思われるかもしれません。そして相手は警戒心を持ち、かえってラポールのレベルを下げることにつながります。
共感とは、同じ意見や感情を持つことではありません。自分と意見や感情が違っていても構いません。相手が感じていることを理解することです。そして相手の意見や感情を受け入れ、尊重することです。これがコミュニケーションで大切な共感です。
相互理解に必要なスキルと知識
ラポールのレベルを上げ、相互理解を進めるために、多くのスキルがあります。
その代表的なものを挙げます。
- 相手と動作などを同調するミラーリング
- 相づち
- 相手の言葉を復唱するオウム返し
- 相手と同じ単語や言葉を使う
- VAKと言われる優先感覚に合った表現を使う
それぞれ、効果的なスキルです。相互理解を深めるために、一つでも二つでも身に付けることをお勧めします。しかしコミュニケーションのスキルは表面的に分かったつもりになって使うと、効果が得られないどころか逆効果になることも少なくありません。しっかりと学び、注意しながら使い、経験を積んでレベルアップしていくことが重要です。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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