論理思考、ロジカルシンキングはビジネスでは必須です。しかし、論理的に考えるのは簡単ではありません。特に注意しなくてはならないことがあります。
目次
純粋に論理的に考えるのは難しい
論理的と言えば、どのようなイメージを持っているでしょうか?
客観的で誰もが納得出来る上に、反論の余地がないなどのイメージを持っている人が多いでしょう。逆に言えば、論理的に考えることで、誰もが納得出来る、反論の余地のない、絶対的な結論が得られると思っている人が多くいます。
ところで、人は完全に客観的になれるのでしょうか?
例えば何かについて考える時、自分が望む結論があるとします。無意識の内に、自分が望むことが結論になるような方向性で考えてしまいます。これは客観的とは言えませんし、純粋に論理的に考えているとは言えません。
人が完全に客観的になるのは無理なことです。自分の価値観や思考パターンから完全に離れることは出来ません。それでも、客観的で論理的に考えることを放棄してはいけません。
目標や目的を見失わないように注意する
客観性を保つために効果的なことの一つが、目的を見失わないことです。
物事を考えていると、ふと良い考えが浮かぶことがあります。良い考え、ということ自体が既に客観的でも論理的でもないのですが、良い考えだと思ってしまうものです。そこで、人は無意識に浮かんだ良い考えを正当化しようとします。特定の考えやアイデアを正当化しようとすると、いつの間にか本来の目標や目的からずれてしまうこともあります。
方向性であれ、具体的な対策であれ、そこには目標や目的があります。そこで折に触れて確認しなくてはならないのが、本来の目標や目的にとって最適かどうかです。
- 何を実現するために考えているのか
- どのテーマについて考えているのか
- そもそも、なぜそれについて考えなくてはならないのか
- 今のアイデアは目標や目的に適切か
- 目標や目的に適切な他のアイデアはないか
などについて考えてみることが効果的です。本来の目的や目標に立ち返って、何について考えているのかを意識して確認することが大切です。
正しいプロセスに従って考えているか確認する
良い考えやアイデアが浮かび、それが目的や目標にとって適切だと確認出来たとしても、さらに注意しなくてはならないことがあります。そのアイデアが良いことだという思いが強くなれば、そのアイデアが論理的にも正しいと思い込んでしまいがちです。そこで起こりがちなのが、ショートカットです。
論理思考には、本来たどるべきプロセスがあります。その一つひとつを順番にたどることが大切です。しかし、結論が分かっていると思うと、一つひとつのプロセスや作業が不必要なものに思われます。そして、一部のプロセスを飛ばしてしまいたい気持ちになります。こうしてショートカットが起こります。
論理思考は誰からも納得されるように、きちんと論理的に説明出来るために行います。一部をショートカットすれば、論拠が不十分であったり、検討や考慮に漏れがあるかもしれません。これらの納得性を下げる事態は、論理思考のプロセスに従っていれば避けられることです。どれだけ考えやアイデアに自信があっても、正しいプロセスに従って考えることが大切なのです。
現実を歪めないように注意する
良い考えやアイデアが浮かんだ時にしがちなことは、ショートカット以外にもあります。
論理的に考えるには、さまざまな情報を入手し、判断し、評価しなくてはしなくてはなりません。外部環境の現状、トレンド、業界の動き、地域の状況などです。さらに社内事情、予算や時間的猶予や使えるリソース、経営状況などが前提条件になります。
これらの情報や条件が、良いと思っている考えやアイデアにとって必ずしも好ましいとは限りません。逆に、全てが好ましいことのほうが現実的ではありません。そこで論理的に正しいプロセスを踏みながら考えていくと、良いと思うことにとって不都合なことも出て来ます。その時、意図的か、無意識かは別にして、以下のようなことをしてしまうことがあります。
- 無視する
- 軽視する
- 偏った評価や判断をする
などです。
良い考えやアイデアが浮かんだ時にしがちなことは、ショートカットだけではありません。適切だと思われる考えやアイデアに相応しくない現実を歪めてしまうことも注意しなくてはなりません。
視点を意識して変える
プロセスに従い、一つひとつの中身を検討していると、全体との整合性が取れなくなることも起こります。特に良い考えやアイデアが浮かばないケースでは、一部に適切と思われるアイデアやヒントに頼りたくなります。それをきっかけに全体を考えたいと思います。調べている間に、何か部分的に良い考えやアイデアを見つけるかもしれませんし、思いつくかもしれません。行き詰っている時であれば、突破口となるに期待し、頼りにしたくなります。
しかし上に書いたように、現実を歪めなければ、目標や目的とずれてしまうことも起こります。現実を歪めず、目的に合わせよれば、全体の整合性が取れなくなることも起こります。
また、論理的に考えるプロセスを進めていると、全体的には良いけれど、中身のそれぞれが矛盾していたり、同時に実現することが難しいケースが出て来ます。
いずれにしても部分と全体は整合性が取れていなければ、客観的であっても論理的に納得できるものにはなりません。論理思考のプロセスのポイント、ポイントで俯瞰して見ることが重要です。論理思考は一直線に進んで行くものではありません。立ち止まり、全体を見て、場合によっては前に戻りながら、全体的に整合性の取れたものを見つけるものなのです。
クリティカルに考える意識を持つ
ビジネスで求められる論理思考の要件は、事実を歪めず、論理的に正しく、全体として整合性があることです。これを守るのは簡単ではありません。人には意思があり、好みがあります。また、自分の考えを正しいと思いたいものです。
しかし自分が良いと思うものに固執すると、人の納得を得ることは難しくなります。いくら論理的に説明しようとしても、どこかにほころびがあり、論理的に破綻しているからです。
とは言え、人には意思があります。自分の意見や考えを通したい、認められたいと思うのも当然です。一方、現実を歪めたり、論理的に破綻した説明が通るほど甘くありません。通らないどころか、かえって不信感を与えることになりかねません。
そこで重要なのが、論理的に考える時、クリティカルに考えることを意識することです。クリティカルに考えることによって、正しく論理思考を使うことが出来ます。論拠や論理を歪めることを避けることが出来ます。全体的な整合性の問題に気付くことも出来ます。
論理思考を使いこなすことが出来れば、どんな問題でも最適な解を見つけることが出来るわけでもありません。論理思考を使いこなすことが出来れば、どんな相手でも自分の意見に納得させられるわけでもありません。
それでもビジネスでは論理思考が必要です。そして論理思考を使う上で、最も重要なのは、純粋に論理的に考えることが難しいことだと分かった上で使うことです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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