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【情報提供のあり方と意思決定】

神戸を中心に自ら現場と直接関わりながら、現場力強化を支援しているオフィス・ビブラビの長尾です。
夜中に台風が通過した翌日、電車は朝から止まっていました。
運転再開を待ちながら、情報提供のあり方について考えさせられました。


今回の台風の影響は大きく、翌日の電車の多くが朝から止まっていました。
安全運行が最も重要なので、台風が去った時間を考えると、止める決断は正しかったと思います。
そして前日から、運行を見合わせる可能性について、情報が発信されていました。
翌朝、多くの電車が始発から運行を見合わせるとサイトで案内されていました。
利用者が知りたいのは、まず電車が動いているかどうかです。
そして、動いていないならば、いつ頃復旧するかです。
ところが、運転再開予定や見込みについての情報は、全くありませんでした。
移動する必要があったので、何度も情報を見に行きましたが、情報は提供されませんでした。
他の路線を使って行くために出かけると、電車はすでに動いていました。
実際にサイトに運転再開情報が載ったのは、動き始めた時間から1時間半後でした。
利用者が運転再開の情報を知りたいことは、鐡道会社も分かっていたと思います。
事前に再開予定時間は分かっていたはずです。
では、なぜ公表しなかったのでしょうか?
再開の目途は立っていても、予定は狂うことがあります。
実際の再開が予定よりも遅くなると、大きなクレームになる可能性があります。
実際に運転再開が遅れた時、駅に居合わせると、駅員へ執拗に抗議している場面を見かけたことが何度もあります。
駅員に噛みついても現状は変わりません。
駅員業務は滞るでしょうし、駅員は精神的にダメージを受けると思います。
また、前もって公表すると、利用客が一気に駅に来て、混乱する可能性もあります。
我先にと乗ろうとする利用客が殺到すると、安全の確保も難しくなります。
ならば、確定するまでは伝えない、あるいは、これ以上遅くなることがない位安全な時間を公表する判断をするのもやむを得ない気がします。
これは情報提供に関するケースですが、他にもお客様の要望が分かっていながら、それに応える優先順位を下げる判断をしている事例は少なくありません。
一見、自社の保身が理由のように見えます。
しかし、保身の優先順位を上げなくてはならない原因は、お客様や世間の振る舞いかもしれません。
そう考えると、お客様を大切にする行動を妨げているのは、お客さま自身かもしれません。
会社の意思決定は、正論だけで行えば良いとは限りません。
そして、複雑な要因が絡み合う中で、覚悟を持って意思決定するのが経営者に必要な現場力の1つです。
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執筆者、長尾洋介のプロフィール

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