会社組織を運営するには、現実的に機能する組織の仕組みが必要です。その中でも大切なものの一つが指揮命令系統です。
目次
組織には指揮命令系統が必要
会社には目的があり、そのための活動があります。会社に所属する人は全て、会社の目的のために働くことが求められています。共通の目的のために動く集団です。
しかし集団は、ただ集められているだけでは動きません。目的だけ示せば動いてくれるかもしれませんが、現実には動いてくれないでしょう。勝手に動くことはあるかもしれませんが、各自バラバラに動いていても会社の目的は果たせません。ただ人が集まっているだけでは烏合の衆と変わらないのです。
集団が目的に向かって動くために必要なのが指揮命令系統です。業務を分割し、最終的には社員一人ひとりに役割を割り振らなくてはなりません。社員一人ひとりが自分が何をすることが求められているかが分かるように伝えなくてはなりません。
さらに会社全体の方向性や戦略なども全員に伝えなくてはなりません。方針や対策などの変更があれば、各部署の業務が変更になったり、優先順位が変わることもあります。それも全員に伝え、従わせなくてはなりません。
これら全てのために必要なのが指揮命令系統です。集団を共通の目的のために動くようにするには指揮命令系統はなくてはならないものなのです。
望ましい指揮命令系統
会社全体を目的に向けて動かすためには指示命令系統が必要です。会社全体を機能させる上で参考になるのが、人の体です。人の体は全体として機能しています。
基本的に体の各部に指令を出しているのは脳です。そして人の体は神経を通して情報をやり取りしています。体中の情報は脳に集められ、脳が判断し、脳が指令を出し、臓器など体の各部が脳の指示に従います。
さらに人の体には、これ以外の仕組みがあります。生命の危険があるなど重要性も緊急性も高いケースでは、例外的に脳の判断を待たずに各部が対応します。目に物が急に近づいた時に目を閉じるなどの反射的な反応です。
会社に当てはめてみると同じ事が必要です。
- トップからの指示が末端まで伝わる
- 末端の情報がトップに伝わる
- 緊急事態では末端が即時対応出来る
これらが実現出来ていることが指揮命令系統にとって望ましいことです。
意外に多い指揮命令系統の混乱
ほとんどの会社では、指揮命令の仕組みが決められています。採用している仕組みは、上に挙げた望ましい条件を満たしていると思います。しかし現実にはさまざまな問題が起こっている会社が多いです。
その原因は、会社の中にいるのは人だからです。人は単純に情報を流し、受け取り、指示に従うわけではありません。人には意思があります。自ら考え、判断して行動します。そこで本来トップと末端との間は情報がそのまま伝わるはずが途中で、
- 伝えず止める
- 判断や考えを加えて伝える
- 他の部署などに介入する
などのことが起こります。
人がそれぞれ考えることは悪いことではありません。しかし、それによってさまざまな問題が起こります。
- 情報が伝わっていないことでトップの判断が間違う
- 指示の整合性やバランスが失われることによって業務が混乱、効率が低下
- 誰からの情報や指示に従えば良いか分からず業務が停滞
これらのことは、組織を機能させる上で良いことではありません。しかし、どの組織でも実際には起こることですし、避けることは難しいです。
効果的なのは指揮命令系統の問題に対処する仕組み
指揮命令系統には人が介在している限り、混乱は起こります。この問題はなくなりません。人が考えるのを止めることも出来ません。
情報や指示をそのまま流しているかどうかを監視する方法もありますが、効果的ではありません。方法が巧妙化するだけで、いたちごっこになるだけです。
そこで効果的なのは二つの方法です。
一つ目は、情報や指示の内容、トップの判断の理由や背景などを全て公開することです。全てが全員の目に触れる所にあることで、情報や指示を操作する必要も意味もなくなります。
二つ目は、大きな混乱や問題が起こる前に察知し、対処することです。全ての情報を公開することは現実的ではありません。そこで情報や指示はそのまま伝わらないことを前提として、問題が起こる兆候を察知する仕組みを作ることです。問題の兆候が見つかれば、情報を公開し、広く議論出来るようにします。
指揮命令系統を機能させるには明確さが前提
人が介在する限り、指揮命令系統はいくら良い仕組みを作っても問題は起こります。それでも指揮命令系統は機能させなくてはなりません。
そのために、
- 情報と指示の伝達ルートとルール
- 役職別伝達の役割
- 役職別の権限と責任
を明確にした上で、現実的に対処出来るようにしておかなくてはなりません。
そもそも明確なルールがなければ組織は機能しません。問題に対処するにしても、その土台となる制度やルール、対処する根拠となるルールと仕組みが必要です。指示命令を伝え、従わせるだけが指揮命令系統ではありません。これら全てが指揮命令系統なのです。
仕組みは本来の目的のために機能するように作ることが大切です。それは指揮命令系統も同じです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
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長尾洋介プロフィール
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