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魅力的な表現の効果

人の前に立って伝えている男性

オフィス・ビブラビの長尾です。ブログをご訪問いただき、ありがとうございます。

会社は多くの人を束ねて動かすことが必要です。そのために、魅力的な表現で方向性を示すことは効果的ですが、課題もあります。

最近、目にすることが多いのがパーパス経営という言葉です。会社の存在意義、事業を通して実現したいことなど、目的を明確に定め、それに従って行なう経営手法です。以前から使われているミッションやビジョンを経営の拠り所とする経営に近いものです。そして今、パーパス、ミッション、ビジョンに含まれる内容で、主流となっているのがSDGsです。

長く経営の流れを見ていると、SDGsも一つの流行かもしれません。以前のフィランソロピーやエコロジーなども、一時もてはやされましたが、その後、言葉はほとんど使われなくなりました。ただし、そのエッセンスはSDGsなどの中にも組み込まれています。精神や考え方は普遍的でも、言葉が置き換わることはよくあることです。

少し脱線しましたが、会社のパーパスを明確にすることは会社経営にとっては効果があります。方向性を定めることで、何にリソースを割くかを判断しやすくなります。パーパスを掲げることによって、パーパスに共感する同じ志を持つ人を集めることも容易になります。さらにベクトルを合わせることで、従業員のエネルギーを集めることができます。これらによって、従業員も前向きに業務を行なうでしょう。より強い組織を作ることができるでしょう。

そこで魅力的なパーパスを掲げる会社が増えてきました。さらにパーパスを掲げる効果を高めるために、より魅力的な表現を使う会社も増えています。しかし、魅力的な表現は効果的な反面、課題もあります。

パーパスを掲げた場合、従業員は会社の目指すものに共感し、その実現に貢献したいという思いを強く持っています。その分、前向きに業務に取り組むでしょうし、ある程度無理もしてくれるでしょう。しかし、会社の意思決定などがパーパスからズレていると感じると一気に気持ちが離れてしまいます。会社に裏切られた、騙された、利用されたと感じます。そして会社は一気に求心力を失います。

さらに、パーパスの実現、パーパス実現に向かっているという実感が得られない場合も、従業員のエネルギーは下がっていきます。ウクライナの戦争のように、国を守るというパーパスには強くコミットしていても、長引けばエネルギーは低下しているようです。会社のパーパスへのコミットは国を守ることに比べれば弱いものです。成果や実現の兆しなどが感じられなければ、頑張ることを止めてしまうでしょう。

パーパスの魅力とは少し違うのですが、会社として取り組まなくてはならない課題やテーマを魅力的な表現で社内を巻き込もうとするケースも見られます。例えば、コンプライアンスやセキュリティ対策です。これらの対策のために実行しなくてはならないことは、従業員にとっては手間のかかる、面倒なことが多いです。しなくて済むならしたくないことです。そこで「攻めのコンプライアンス」「攻めのセキュリティ対策」などと、前向きな表現を使う会社もあります。それでも従業員にとっては面倒なことを延々と続けなくてはならないことに変わりはありません。導入時に鼓舞するのには効果的でも、永続的な効果は見込めません。

従業員にとって働きがいのある会社であることは良いことです。そのために、魅力的なパーパスを掲げることは効果的です。さらに、パーパスを魅力的な表現で表すことで、さらに効果を高めることが出来ます。しかし、その魅力を失った時の反作用は、大きいです。そのため安易に使ってはいけません。

経営者は、効果があることが分かっているからこそパーパスを掲げ、魅力的な表現を使いたいと思うでしょう。しかし、何をパーパスとして掲げ、どのような表現を使うかは慎重に考えて決めなくてはなりません。これは、経営者自らが意思決定に関わらなくてはならない、会社全体の将来に影響を与える可能性のあるテーマです。

本当に経営者は大変です。だからこそ私は、頑張っている経営者にエールを送り続けたいと思っています。そして支援したいと思っています。応援しています!

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