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企業努力の呪縛

分かれ道に立つ男性二人

オフィス・ビブラビの長尾です。ブログにご訪問いただき、ありがとうございます。

より良いものをより安く、と努力している企業は多いです。その企業努力は本当に適切なのでしょうか?

より良いものがより安くは、ほとんどの消費者、お客様が望んでいることです。商品にしていもサービスにしても、より良いものをより安く提供する企業努力は、ビジネスの努力の方向性、姿勢として正しいです。

ところで、この企業努力という言葉は一般的に、どのような時に使われるでしょうか?

極端に言えば、値引きです。そして値段が上がる要因がある時に値上げをしないことです。残念ながら良いものを提供する企業努力は認識されず、それほど評価されないのが現実です。

最近ニュースで取り上げられていたのが物価指数です。原材料の仕入れなど原価に影響する企業物価指数は10パーセント上昇しています。一方、実際に消費者に売られている値段の指標である消費者物価指数の上昇は4パーセント弱です。この二つには6パーセントの差があります。さらには製造原価に影響する光熱費なども上昇しています。実際に企業としてかかっているコストの上昇分が価格に転嫁出来ていないパーセンテージは6パーセントよりも大きいです。

この6パーセントを超える差を埋めているのが企業努力と言われているものです。そもそも多くの企業が製造や業務の効率化に取り組んできています。省エネにも取り組んできています。さらに努力するでしょうが、大きな改善は期待出来ないでしょう。

では、6パーセントを超える差をどうすれば良いのでしょうか?

利益を削り、耐えているのでしょうか?しかし、この差を全て吸収出来るほど利益率に余裕のある会社は多くないでしょう。新型コロナの影響などで財務的に苦しい会社も多いです。短期的には可能でも、中長期的に見れば現実的ではないでしょう。

効率化や省エネに取り組んだ後、それ以外で、削減できる経費には何があるのでしょうか?人件費に手を着けますか?人件費に手を着けると言っても、現実的に出来ることはほとんどないでしょう。給与を下げることも出来ないでしょう。人を減らして残った従業員に今以上の負担を負わせるのも、労働条件などを考えると難しいでしょう。しかも今は賃上げを求められています。企業としては、雇用を守ることも大切な使命の一つです。このように現実には人件費を削減することは難しいでしょう。

値上げは悪、値上げをするのは企業努力が足りないという認識は一般の消費者だけでなく、経営者も強く持っているでしょう。しかし、企業物価指数が上がり、光熱費が上がっている中、値上げをしなければ、企業の利益は下がります。利益が人件費の源です。しっかりと人件費を確保するには利益を上げなくてはならないのです。そして賃上げするには、さらに利益を増やさなくてはならないのです。

値上げは悪、値上げは企業努力不足という一種の企業努力の呪縛に囚われていては現状を変えることは出来ません。発想を変え、値上げ出来るかどうかではなく、どうすれば値上げ出来るのかについて真剣に考え、取り組むことが必要です。多くの企業にとって、これは大きな挑戦でしょう。それでも取り組まなくてはなりません。そして、それを決断し、推進出来るのは経営者しかいません。

本当に経営者は大変です。だからこそ私は、頑張っている経営者にエールを送り続けたいと思っています。そして支援したいと思っています。

応援しています!

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