オフィス・ビブラビの長尾です。
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先日、飲食店のランキングにまつわる訴訟の判決が出ました。その本当の問題点は何なのでしょうか?
食べログがランキングを決める基準を変えたことで、大きく売り上げを落とした会社が食べログを訴えました。そして、裁判では食べログ側の一方的な基準の変更は優先的地位の乱用に当たるとの判決が出ました。一方的な基準の変更を行えば、あらかじめ計算できない不利益を与える、というのが理由だそうです。
食べログのランキングは飲食店にとって影響が大きいものです。その基準が変わったことで、ランキングが下がると売り上げが落ち、飲食店にとっては死活問題になる可能性があります。
それでは、事前に基準の変更内容を登録している飲食店と相談して決めたり、事前に伝える必要はあるのでしょうか?
以前、食べログなどランキングサイトのランキングの信用性が一気に落ちたことがありました。当時のランキングを決める基準にとって有利になるように、飲食店がサクラなどを使ったことが原因でした。そこで利用者からランキングの信用を失ったのです。その後、ランキングの信用性を回復するために、さまざまな対策が採られたようです。今回も、その一環だと思われます。
特定の飲食店のランクを下げるように、恣意的に基準を変えてはいけないと考えています。しかし、ランキングの公平性を保ち、信用を維持するには、定期的に基準を変えることは必要です。そして、その基準を決める上で、飲食店の合意を得る必要も、事前に基準の変更内容を伝える必要もないと考えています。
これはGoogleで検索した時の掲載順位を決めるアルゴリズムと共通点があります。アルゴリズムの全ては公開されていません。しかし、検索順位はウエブでのマーケティングでは重要なことですので、アルゴリズムを推測し、検索順位が上位に来るように対策を行います。いわゆるSEO対策です。
Googleの検索も、食べログも、そのランキングを上位に上げたいものです。対策を行った会社と行っていない会社とでは、ランキングに差が出ます。そのため、上位に上げるために対策を行うのも当然の企業努力と言えます。。
では、そうして決まったランキングは正しいのでしょうか?利用者にとって本当に信用できるものなのでしょうか?
ランキングを決める基準が公開されていれば、企業は当然、上位になるように対策を行うでしょう。しかし、その結果、ランキングは厳しい言葉を使えば、事実ではなく、歪められたものとなります。これは利用者にとって良いことなのでしょうか?一消費者とすれば、企業のランキング対策に影響されないランキングである方が望ましいでしょう。対策によって作られたランキングは信用しないでしょう。
一方、食べログから見るとどうでしょうか?私も一消費者としてランキングの高い飲食店に行き、残念な気持ちになったことは少なくありません。なぜ高いランキングがついているのか理解出来ないこともあります。食べログにとって、一般の利用者の不信感は、最も避けなくてはならないことではないかと思います。
企業の立場から見れば、ランキングの基準が分かり、対策をするなどの努力をすることで、ランキングを上げたいと考えるでしょう。一方、食べログの立場では、出来るだけ利用者の声が反映され、実際に利用した人の評価がランキングに近いことを求めるでしょう。そのために、基準を公開しないでしょう。
今回の裁判は、飲食店の訴えをより多く認める判決でした。独占禁止法の観点からすると、優先的地位の乱用と判断されたようです。しかし、ランキング対策を容認することにつながり、食べログのランキングの利用者の信頼性の観点からすると問題が大きくなったと言えます。
本来は、利用者の評価とずれのないランキングが理想です。お客様に高い評価をいただけることに飲食店の努力を集中させることで、ランキングが上がれば良いのですが、それだけでランキングが決まるわけではないのが現実です。ランキング対策にも力を注ぐ必要があるでしょう。その力の入れ具合のバランスや、それぞれに対して何をどこまでするのかを決めなくてはなりません。当然、それを決めるのは経営者です。
本当に経営者は大変です。だからこそ私は、頑張っている経営者にエールを送り続けたいと思っています。
そして支援したいと思っています。応援しています!
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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