神戸を中心に自ら現場と直接関わりながら、現場力強化を支援しているオフィス・ビブラビの長尾です。
経営者は現場の声を聞くべきだと言われています。
それは、正しいのでしょうか?
会社のトップは、現場のことが分かっていない。不祥事や問題が起こると、必ず出てくる話です。
そして、社員の声を聞くことを推奨しているコンサルタントや専門家も多くいます。
現場には、経営判断にとって有用な情報がたくさんあります。
また、現場や現場にいる社員には生かすべき知恵があります。
ですので、私も現場の声、社員の声を聞くことを勧めています。
しかし現場の声を聞くには、注意しなくてはならなことがあります。
現場の声には事実と社員の判断や評価、意見が混ざっています。
社員が意図しているかどうかは分かりません。
いずれにしても、現場からの情報の中には、全てが混在しているものです。
そこで社員の話を聞く時に必要なのは、内容が事実なのか、判断や評価なのか、意見なのかを明確に分類することが重要です。
これが1つ目の注意点です。
2つ目の注意点は、分類によって扱いを変えることです。
事実は経営判断の材料として有用なものです。
意思決定を行う上で、活用しなくてはなりません。
一方、判断や評価は鵜呑みにしてはいけません。
現場の判断は現場視点です。
それは意味があるものですし、参考にすることは大切です。
しかし、経営視点で見ると違う判断や評価になることもあります。
経営視点で改めて判断や評価を行うことが大切です。
そして意見については、参考にすることは大切ですが、従う必要はありません。
現場にとっては正しく、適切なことでも、会社全体で考えると適切でないこともあります。
ある部署の現場にとって適切なことでも、他の部署にとっては問題が起こることもあります。
会社全体を考え、意思決定を行うのは経営者なのです。
ところで、経営者が現場の声を聞くと、社員は何を期待するでしょうか?
現場の判断や評価を、正しいものとして扱われることを期待するでしょう。
現場の意見を採用されることを期待するでしょう。
現場とは判断や評価を行い、現場の意見とは違う決定を行えば、現場は不満を感じるでしょう。
そして、判断や評価、意見だけでなく事実を伝えることも消極的になるでしょう。
それは、意思決定の質にとっては問題です。
そこで必要なのは、現場の感情を配慮した対応を取ることです。
事実だけでなく、現場の評価や判断、意見を聞かせてくれたことに感謝していることを伝えることです。
聞かせてくれた全てのことが、参考になり、より良い意思決定のために価値があったことを伝えることです。
そして評価や判断が違う理由、意見を採用しない理由を、きちんと説明することです。
これが3つ目の注意点です。
これらの注意点を理解し、現場の声を拾い上げ続け、生かしているのも、現場力の強い経営者の特長の1つです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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