ロジカル・シンキング、論理思考にもクリティカル・シンキングが有効と言われています。それだけでなく、リアリティ重視の視点でもクリティカルに考えることは重要です。
目次
クリティカルは批判的?
クリティカルは日本語に訳すと「批判的」です。批判的と聞くと、意見やアイデアに反対するイメージがあります。しかし、クリティカルの本来の意味は違います。決して否定的な意味ではありません。
クリティカルの本質は、論理的に正しいかどうかを客観的に検証することです。
検証は疑うことから始まります。ある意味、重箱の隅を楊枝でほじくるようなものです。対象とされる意見やアイデアを良いと思っている人、提案を通したいと思っている人にとっては気分の良いことではないでしょう。そして検証で何かを指摘されると、些細なことまで難癖を付け、揚げ足を取られているように感じるでしょう。
クリティカルに考えることは、相手の意見を否定するために行うものではありません。クリティカルに考えることで、客観的に物事を見、意見やアイデアを評価することが出来ます。これが本当のクリティカルに考える意味なのです。
クリティカルに考えるための 問い
では、クリティカルに考えるには、何を検証するのでしょうか?具体的には、以下のような内容です。
- 論理的に矛盾がないか
- 論理的に飛躍はないか
- 論拠は十分か
- 論拠は正しいか
- 事実の評価は適切か
- 前提は何か
- 判断基準は何か
- 優先順位は適切か
純粋に論理的に考えるためには、全て必要なことです。
これらの問い全て、常に行うことは現実的ではありません。明確に答えられない問いもあります。それでも、疑うことで分かることも少なくありません。
自分の意見をクリティカルに考える
クリティカルに考える上で、最初に行う必要があるのは自分の意見やアイデアに対してです。自分の意見やアイデアを客観的に検証することの効果は大きいです。
まず、論理的な矛盾や飛躍の有無などを問うことで、自分の思考の癖が分かります。根拠や事実の評価などの正しさを問うことで、物事を見る時の癖を知ることが出来ます。前提や判断基準、優先順位の適切さを問うことで、自分の価値観などを知ることが出来ます。
検証することで、論理的に弱い部分に気付くことが出来ます。弱い所が分かれば、補強することも出来ます。場合によっては、より良い意見やアイデアにたどり着くことが出来るかもしれません。
いずれにしても、自分で自分の思考を検証するのは簡単ではありません。しかし、検証することによって、より良い意見やアイデアを持つことが出来たり、より説得力のある説明をすることが出来ます。
他人の意見をクリティカルに検証する
人によって意見や良いと評価するアイデアが違うのは当然です。しかし、結論の違いは完全に相反するものではありません。クリティカルに考え、検証したどこかに違いがあるだけです。
自分とは違う考えをクリティカルに検証することによって、どこに違いがあることが原因で違う結論になっているかを知ることが出来ます。違いの中には、論理的な間違いもあるかもしれません。物事の見方に違いがあるかもしれません。価値観が違うことが原因かもしれません。
意見の違いを結論だけで議論しても解決しません。共通している所は共通しているとして認めた上で、違いについて話し合うことで、解決や合意への糸口が見つかります。
ただし、相手の考えをクリティカルに検証する時には注意が必要です。純粋な質問であっても、反論や非難と受け取られる可能性があります。あら探しをするために質問をしていると受け取られるかもしれません。出来るだけ純粋な好奇心で質問し、問い詰めている印象を与えないように注意しなくてはなりません。
他人の意見をクリティカルに考えるのも簡単ではありません。特に相反していて、どちらが採用されるかを競っている時はなおさらです。しかし、他人の意見をクリティカルに検証し、違いを知ることは、その人を正しく理解する上で役に立ちます。良い人間関係を築くのにも役に立ちます。
クリティカルに考えるのは論理思考の基礎
自分の考えをクリティカルに検証し、人の考えもクリティカルに検証すると、人や立場によって違いがあることが分かります。その多くは物事の見方や価値観などの違いです。正しい、間違っているではなく、ただの違いです。その違いによって違う考えやアイデアを持つのです。
間違いではなく、違いによって結論が変わる
このことを受け止め、違いのバリエーションも知ることが、結果として論理思考の質を高め、自分自身の思考の質を上げることにつながります。真の意味で、主観や客観が理解出来るようになります。人を動かすには、思い入れや信念、熱意だけでなく論理の力も必要です。その論理の力を高めるには、クリティカルに考えることは重要です。逆に言えば、クリティカルに考えるのは論理思考の基礎と言えるのです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
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