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リスキリングの主体は?

ウオーキングマシーンでトレーニング

オフィス・ビブラビの長尾です。

ブログにご訪問いただき、ありがとうございます。

先日、政府がリスキリングへの支援策を発表しました。その目的はキャリアアップの支援だそうです。

今回の支援策ではキャリアアップを応援することと明言されています。働く人が新たなスキルを身に付けたり、スキルのレベルアップすることを目標としています。レベルアップによって、より高い報酬を得たり、転職を容易になることが期待されています。リスキリングを通してビジネスマンとしての価値を高めることは良いことです。それを国として支援することは価値があります。

今回の支援策で企業は、今の社員のリスキリング機会を与えるコストが軽減されます。また、転職してきた従業員に対してて、持っていないが必要なスキルを学んでもらうコストも軽減されます。これは企業が人材育成に取り組む上で、助けになります。

しかしこのニュースを見て、会社は大変だと感じました。この支援策によって補助は得られますが、基本的にリスキリングの取り組みの主体は企業です。リスキリングの機会を与えるのも、学ぶ時間を有給で与えるのも、費用を払うのも企業です。さらにリスキリングによって価値を上げ、それと共に賃金も上げることが求められています。この賃上げ分を負担するのも企業です。

そして、スキルが高まった従業員が転職すれば、それは損失です。スキルを身に付けるコストを負担したのは会社であるにもかかわららずです。高いスキルを生かすのも会社、転職されないだけの報酬を払うのも会社と言われるのでしょう。しかし、企業に出来ることには限界があります。転職者を全く出さないことは無理でしょう。

ここまで見てきて分かることがあります。リスキリングの負担は、リスクも含めて会社が負います。一方、リスキリングの恩恵を受けるのは従業員個人です。今回の支援策の全体イメージでは、会社がリスキリングに取り組み、従業員がレベルアップし、会社の生産性を上げ、従業員の賃金も上げる、というものです。しかし、これは綺麗事、絵に描いた餅で、リアリティは感じられません。

それでも、リスキリングに取り組まなければ、今いる従業員が持っている能力を生かすことも難しいでしょう。必要なスキルがないために、宝の持ち腐れになるのが従業員の能力なのです。もったいないです。それだけでなく、リスキリングの機会を与えてくれる会社に転職する従業員も出て来るでしょう。負担もリスクも受け入れてリスキリングに取り組むしかないのです。

リスキリングの恩恵を受けるのは従業員個人なのに、負担は全て会社というのは、フェアとは言えません。しかし、これが日本的な所でしょう。欧米ならば、自分のビジネスマンとしての価値を上げるのは個人が担います。どのような知識やスキルを身に付ければビジネスマンとしての価値が上がるかを自分で考え、選び、投資するのです。一方、会社から機会が与えられた場合、どのような知識やスキルを身に付けるかを決めたのは会社です。それを必要としているのは会社なので、身に付ければ価値が上がるのは当然で、価値を認めて、それに見合う待遇を与えられるのは当然だと考えるでしょう。つまりリスキリングの主体は会社なのです。

この根底にあるのは、欧米と日本との自己責任意識の違いだと考えています。良し悪しではなく違いです。この違いが、根本的な原因となっている問題が多いと考えています。特に会社と従業員の権利と義務に関わる問題には多いです。しかし、それが現実です。

フェアではなくても、会社はコストを負担し、リスクを引き受けながら、従業員のリスキリングに取り組まなくてはなりません。学ぶ機会を与えなくても、身に付けたスキルに見合う報酬が得られなくても、キャリアアップを目指している従業員は辞めていくでしょう。会社としては、リスキリングに取り組み、従業員に学び直す機会を与え、従業員が身に付けたスキルを生かして生産性を上げ、従業員に対して身に付けたスキルに見合う報酬を支払わなくてはならないのです。

リスキリンに取り組む決断が出来るのは経営者しかいません。そしてリスキリングの効果を生産性向上につなげ、従業員が辞めないようにしなくてはなりません。これを実現するために必要なことを実行させられるのも経営者しかいません。

本当に経営者は大変です。だからこそ私は、頑張っている経営者にエールを送り続けたいと思っています。そして支援したいと思っています。

応援しています!

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