経営上何か問題があれば対処しなくてはなりません。その対策には何種類もあります。そして対策は二種類に分けることが出来ます。
目次
根治療法と対処療法との優劣
病気の治療には、大きく分けて二種類あります。とりあえず症状を抑える対処療法と、病気自体を治す根治療法です。
例えば、インフルエンザにかかったとします。とりあえず熱を下げるのは対処療法です。発熱を引き起こしている病気、インフルエンザを治すのが根治療法です。
熱を下げてもインフルエンザは治っていないので、解熱剤の効果が切れれば、また熱は上がります。インフルエンザを治さないと、また熱は出るのですが、高熱が続くのはしんどいです。また、高熱が他の病気を引き起こすリスクもあります。そこで、根治療法をしながら、対処療法も行うことになります。
経営で起こる問題も同じです。今起こっている問題には対処しなくてはなりません。しかし、問題の根本的な原因を取り除かなければ、また問題は起きる可能性が高いです。対処療法と根治療法は、どちらも必要なのです。
必要な手間と時間は違う
対処療法と根治療法は、どちらも必要ですが、大きな違いがあります。
対処療法は短期間で問題が解消します。解熱剤を飲めば、しばらくすると熱は下がります。手っ取り早く問題が解決します。
根治療法は、効果が出るまでに時間がかかる上に、長い時間をかけて行わなくてはなりません。対処療法で症状が抑えられても、治ったわけでもありません。解熱剤の効果がなくなれば熱はまた出ますし、インフルエンザならば他の人にうつしてしまう状態のままです。
この違いは、どちらを選ぶかに大きな影響を与えます。
魅力的な手早い解消
ビジネスでは通常の業務だけでも、しなくてはならないことがたくさんあります。使える時間も資源も、十分に余裕があるわけでもありません。
多くの会社が、問題が起こると、まず対処療法で対処しようとします。対処療法を行えば、目の前の問題は解決します。短期間で問題が解決する対処療法は魅力的です。
しかし、根治療法に取り組まなければ火種は残ったままです。それでも、根治療法に取り組まない会社は少なくありません。喉元過ぎれば熱さを忘れるです。根本的な原因は取り除かれていないので、また問題は起こります。そして、また対処療法を行います。現実には、これを繰り返している会社は意外と多いです。
対処療法と根治療法とどちらを選ぶか
起きている問題の大きさによっては対処療法は必要です。一方、根治療法を行わなければ、問題の原因は取り除かれていないので、また問題が起こる可能性は高いままです。
では、どうすれば良いのでしょうか?
目の前の問題には対処療法を行い、さらに問題の再発を避けるために根治療法を行う
これが正解と言えそうです。しかし、これは教科書的正解です。
根治療法には時間もコストもかかります。取り組むかどうかは現実的に判断する必要があります。
その判断を行う上で考慮しなくてはならない要素は
- 問題が起こる頻度
- 対処療法に必要なコスト
- 問題がビジネスにもたらす悪影響
- 根治療法に必要なコスト
の四つです。
問題が頻発しても、対処療法に必要な時間やコストが多くなく、問題がビジネス全体にもたらす悪影響も小さいならば、根治療法に取り組む必要はないでしょう。対処療法のコストは少なくても、ビジネス全体にもたらす悪影響が大きいならば、根治療法に取り組む必要性は高いかもしれません。
対処療法と根治療法との間に優劣はありません。特徴に違いがあるだけです。対処療法だけに頼るのも問題があります。問題が起こる度に根治療法に取り組むのも現実的ではありません。
重要なのは対処療法で問題が解消した後で、根治療法に取り組む必要があるかどうかを検討することです。この検討をしっかりと行う時間を作ることがたいなのです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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