人には感情があります。感情は自然と湧き上がってくるものです。一方、自分自身を管理し、自分自身に対してリーダーシップを発揮する上で、自分の感情をいかに扱うかは重要です。
目次
自分の感情の影響
感情は自然と湧き上がってくるものですが、感情は表に現れます。腹が立てば、顔は上気して赤くなり、目は吊り上がり、語気が上がり、早口になるでしょう。悲しければ、視線は下がり、表情や動作に力がなくなり、涙が出ることもあるでしょう。
また感情は気分に影響し、行動にも影響が出ます。うれしいことがあれば気分は良く、前向きな行動が出来るでしょう。ショックなことや悲しいことがあれば、気分は沈み、何をする気にもなれないかもしれません。
これらは、人として当然のことです。
しかし、感情が表に出たり行動に影響が出ることで様々な影響が出ます。
例えば感情が表に出る例として、怒りを爆発させ、原因となった相手を攻撃すれば、相手や周囲の人はどう思うでしょうか?行動に影響が出る例として、怒りで言動が乱暴になったり、不愛想だったり、不機嫌な態度で周囲に接したり、仕事に集中出来ないと、周囲はどう思うでしょうか?また、落ち込んで何も手に付かないとどうでしょうか?
感情は自然に湧き上がるものですが、それが表に出たり、行動に現れるものです。そして表情や行動によって、人は人を評価します。周囲との接し方や態度が不安定な人は、気を遣わないといけない相手でしょう。行動が不安定な人は、安心して仕事を任せることが難しい相手だと思うかもしれません。
感情が影響を与えるのは、人の評価だけではありません。湧き上がった感情によっては、自分自身が取り組もうとしていること、しようとしていることもが難しくなることもあるでしょう。
感情はさまざまな面で影響を与えています。このことを認め、向き合うことが大切です。
自分の感情と向き合うのは辛いこと
感情は自然と湧き上がって来るものですが、理由があります。しかし、自分の感情の理由を考えることは楽しいことばかりではありません。
例えば、怒りの感情が湧き上がるきっかけはなにでしょうか?
攻撃されたり、傷つくようなことを言われたり、裏切られたと感じれば怒りの感情が生まれるでしょう。これらは当然だと思います。この中で注目したいのは、裏切られたと感じるケースです。約束を破られた、詐欺に遭った、利用されたなどのように明らかな裏切りもあります。
一方、自分が望んでいることをしてくれない時、期待通りでなかった時も、裏切られたと感じます。自分が望んだり期待したことは、相手が約束したことでないケースも多いです。約束する以前に、相手に伝えておらず、一方的に期待しているケースもあります。
一方的に相手に期待し、期待通りでなかった場合に怒りを感じるのは自分勝手です。元々誰でも人は自分勝手なものです。怒りの原因を考えれば、そんな自分の中の自分勝手な部分と向き合わなくてはならないかもしれません。
ところで、期待を裏切られたことで湧き起こる感情は、怒りでしょうか?実は怒りではなく、失望かもしれません。怒りと失望が同時に起こっていることもあるでしょうし、失望が怒りの原因かもしれません。
また、自分が我慢していることを平気でしているのを見た時や、自分が頑張ってしていることをしないでいるのを見た時も怒りを感じるかもしれません。ただ相手は自分の意見を言っただけなのに、怒りを感じるかもしれません。このようなケースの怒りの原因を考えると、自分が大切にしていることが分かります。一種の価値観です。
価値観は人それぞれ違います。自分と同じ価値観を持っていないことが理由で怒るのは正当なことではないでしょう。
自分の感情の源に目を向けるのは簡単ではありません。自分の嫌な所とも向き合わないといけないこともあるので、楽しいことでもありません。しかし、自分の感情を扱うことに取り組むためには必要なことです。自分の感情の源と向き合うことから逃げないことが大切なのです。
自分の感情と向き合う時、自分を責めない
反応のパターンや理由を考え、自分の感情と向き合う時、注意しなくてはならないことがあります。それは、自分を責めないことです。
自分の感情と向き合うのはしんどいことです。特に悪い影響が出る可能性のある反応を反射的に起こしてしまう感情と向き合うのは辛いかもしれません。しかし、その時、決して、自分を責めないで下さい。と言うよりも、責める必要はありません。繰り返しになりますが、感情が自然に湧くのは人として当たり前のことなのですから。
自分に湧き起こる感情とうまく付き合う
自分の感情の源を知ることで、自分の感情とうまく付き合う準備が出来ました。次は、感情を原因としている悪い影響を小さくする方法です。
人は多くの場合、反射的に反応します。特定の感情が湧くきっかけとなる刺激があれば、反射的に感情が湧くのです。これは仕方がないことです。
しかし、実際には、刺激と反応とは同時でありません。二つの間には一定の間があります。間があれば、反応をコントロール出来ます。
具体的には、受けた刺激を冷静に解釈することを習慣にするのです。
期待を裏切られたと感じた場合、例えば、期待を裏切ったのは事実なのか、そもそも相手が約束したことなのか、などを考えてみるとどうでしょう。自分の価値観に合わない行動をしている人を見た場合、例えば、相手の行動の裏にはどのような価値観があるのかを考えるとどうでしょう。このように考える習慣を作れば、感情が湧いても、ある程度冷静になり、噴き出すことは避けられます。
もちろん毎回うまくいくわけではありません。特に最初は刺激に対して反射的に反応してしまうことが多いでしょう。しかし大切なのは、反射的に反応してしまった後、心が落ち着いてから、感情が湧き上がった理由を考えてみることです。自分の反応パターンとその理由を知ることが出来れば、刺激に対しての反応をコントロール出来る可能性が高くなります。
少なくとも特に悪い影響のある感情が湧く刺激に対して反応をコントロール出来るようになれば、多くのことが改善するでしょう。人間関係を壊すような事態を避けられます。気分を切り替え、自分がすると決めたことに集中して取り組めるでしょう。
自分の感情と向き合う副産物
自分の感情が湧き起こるパターンや理由を見つめると、自分の反応をコントロール出来る他にも良いことがあります。それは、他の人の感情が起こる理由についても理解出来る可能性が高くなることです。
相手の感情が起こる理由とパターンが分かれば、特定の感情が湧かないように対応することも出来ますし、相手に沸いた感情に対しても、適切に対応出来る可能性が高まります。
また、現実以上に重大に感じ、強く反応する対象があることに気付くでしょう。それは、お金に関することと、人間関係に関わることです。
このように人間の感情について理解を深められるのも、自分の感情を扱うことに取り組むことの副産物です。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
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長尾洋介プロフィール
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