広告で、簡単に出来ます、というフレーズをよく目にします。これは本当でしょうか?
最近、広告やコマーシャルでよく聞くフレーズがあります。それは、ウエブで簡単!です。多くの会社が当たり前のように使っているフレーズです。コールセンターに電話した時も、ウエブからもお手続き出来ますとウエブでの手続きを勧められた後でしか、オペレーターにつないでもらえないケースも少なくありません。
ウエブ利用の勧めだけでなく、操作が簡単、簡単に使える、簡単に身に付くなど、簡単にという言葉があふれています。しかも、簡単のまえに誰でもがついていることも多いです。もちろん、簡単、手軽、短時間で出来ることは誰にでも望ましいことです。しかも、誰にでも簡単に、と言われれば、魅力的に感じます。
しかし、簡単と謳っていても簡単ではないことも少なくありません。以前の機種やサービスよりは簡単かもしれませんが、初めての人には簡単と思えないことも多いです。私が仕事で関係ある分野で言えば、資格取得のための勉強などで、簡単と謳っているものを手に取って見ても、簡単とは思えません。ノウハウや知識などが簡単に身に付くと謳っている本やプログラムを見ても、本当に使えるレベルになるとは思えない物が多いです。
最初の話題から少し脱線しました。ウエブで簡単と言っても、ウエブ利用自体のハードルが高い人は少なくありません。パソコンが使えない人もいます。スマホでも出来ると言っても、スマホを使っていない人もいます。スマホを使っていてもネットの機能は使っていない人もいます。スマホのアプリを使っていても、限られたアプリなどを誰かに設定してもらっているだけの人もいます。つまり、ウエブで何かを行うこと自体出来ない、少なくとも簡単ではない人も少なくありません。
このようなパソコンやスマホに疎い人が、ウエブで簡単と言われたら、どう思うでしょうか?
銀行のATMの操作、今多くの小売店で導入されている無人レジ、レジには人がいても支払いは支払機で行わなくてはならないお店が増えました。これらの操作に戸惑う人は少なくありません。中でも機械に疎い高齢者からはこんな声を聞きます。買い物一つ出来ない時代になった。さらに、自分たちは買いに来てくれなくていいって思われているんだろうな、という人もいます。
ウエブだけでなく、ICTの活用は時代の要請です。省力化、人為的ミスの削減など、ビジネスの効率から考えても、良いことですし、必要なことです。しかし、それは一部のマーケット、一部のユーザーを切り捨てている、という現実も生み出しています。そのことから目を背けてはいけません。
何かを選ぶということは、逆に考えれば、その他の選択肢を排除するということです。戦略や戦術の選択の場合は、限られたリソースの中の選択なので、やむを得ないのが現実です。しかし、お客様との接点は違います。ウエブで簡単だけしか選べないようにすれば、ウエブが使えるお客様だけを選ぶことになります。言い換えれば、ウエブが使えない人は自社のお客様でなくてもいいという選択をしていることになります。そのように意識していなくても、ウエブの使えない人は、お客になってくれなくてよいと思っている会社だというイメージを与えます。
魅力ある価値を提供したいと企業は努力しています。しかし、提供している価値に魅力を感じる人もいれば、逆の人もいることにも目を向けることが大切です。魅力を感じないどころが、疎外されている感じがしたり、嫌な印象を持つひともいます。これらの人を覚悟を持って切り捨てるのも一つの判断です。お客様とするために出来る工夫をするのも判断です。
意思決定は、自社の意思決定で離れていくマーケットやお客様がいる可能性から目を背けず、向き合った上で判断することが重要です。会社としては、広い視野で意思決定しなくてはなりません。しかし、現場は近視眼的になりがちです。そこで意識して広い視野で見ることが求めらるのが経営者です。
本当に経営者は大変です。だからこそ私は、頑張っている経営者にエールを送り続けたいと思っています。そして支援したいと思っています。
応援しています!
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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