意思決定は会社の将来に影響を与えます。そして、決定された内容は実行されなくてはなりません。そこで大切なのはきちんとしたプロセスを踏んで意思決定を行うことです。
目次
基本的な検討プロセス
意思決定に向けての検討プロセスには基本形があります。
- 目的やゴールを決める
- 現状を把握する
- 方針や具体策を決める
このプロセスには異論はないと思います。しかし多くの現場では、いきなり方針や具体策の検討に入っています。目的やゴールは明確で、現状の認識は正しいことが前提となっているのだと思います。しかし、方針や具体策を検討する段階になって、この前提が怪しいことに気付き、後戻りしなくてはならないこともあります。基本に忠実に、目標やゴールを明確にし、現状認識の正しさを確認することが、結果的に効率的です。
また、本当に適切な意思決定を行うには、基本的な主要プロセス以外に重要なプロセスがあります。それは、
- 具体的に検討を始める前に、各種条件を決める
- 結論を出す前に、決め方を決める
の二つです。
検討を始める前に必要な条件を決める
意思決定の内容は完全に自由ではありません。さまざまな条件に合ったものにしなくてはなりません。
目的やゴールには背景があります。そのため、期限や許容範囲などの前提条件があるものです。
また、方針や具体策を決めるためには、さまざまな制約条件があります。使えるリソース、具体的には予算、人員などが無制限に使えるわけではないからです。
そして、いくら検討しても全ての条件を満たす案がないこともあります。その場合、条件の優先順位を決めておくことも必要です。
これらの条件を決めずに検討を始めると、結論を出す視点で考えると、無駄な作業が増えてしまいます。また、一つの結論に絞り込むことが出来ず、収拾がつかないことになりがちです。意思決定するという目的を効率的かつ効果的に行うには、必要な条件を決めてから検討に入ることが望ましいのです。
結論を出す前に決め方を決める
検討を進めていると、多くの案が出て来るものです。通常は、いくつかの案に絞り込み、さらに最終候補の中から一つを選びます。その最後に選ばれた一つが結論です。
そこで大切なことがあります。それは、絞り込み方、最終候補から一つを選ぶ方法を決めておくことです。
- 優先順位の高い条件によって決める
- 各条件の最低条件を満たしていないものを外す
- それぞれの条件に優先順位の高さに応じてを点数を付け、総合点で決める
- 誰かが決める
など、方法は多くあります。決め方が事前に決まっていなければ、恣意的に特定の案が選ばれる可能性が高くなります。合理的な結論を目指すならば、絞り込んだり結論を出す前に決め方を決めておくことが必要です。
意思決定のために会議を開く場合には事前に共有
意思決定は、必ずしも経営者や部門やチームのトップが一人で行うものではありません。会議などで関係者を集めて決めることも多いです。
会議の参加者の知恵を集め、意見を尊重し、意思決定に関与させるのならば、共有しなくてはならないことがあります。
- 目標やゴールとその前提条件
- 現状認識
- 制約条件
- 優先順位
- 決め方
などです。
検討を進める中で、現状認識や条件を変えたり加えれば、結論は変わります。最初から結論ありきで会議を開き、思っている案が採用されそうにない場合、簡単に誘導出来てしまいます。決め方を投票などでは旗色が悪ければ、最終的には自分が決めることに変えることも出来ます。
これらは一種の、後出しじゃんけんです。意思決定に関与出来ると思い、真剣に考えてきた参加者は不満を感じるでしょう。きちんと検討して意思決定を行ったことを見届けた証人として利用されていると感じる人もいるでしょう。現状認識や条件を最初から決め、共有し、知恵を借りるために会議を開くのならば、最終的に選ぶのは経営者や部門やチームのトップであると事前に伝える方が良いでしょう。重要なのは必要なことは事前に決め、参加者と共有しておくことです。
意思決定のプロセスに従う価値
意思決定の内容は、会社の将来を左右するものですので、慎重に検討しなくてはなりません。意思決定されたものを実行するのは現場です。現場の合意と協力を得られるように、論理的に説明出来なくてはなりません。
そのためには、意思決定は適切に行わなくてはなりません。具体的には、プロセスを順番通りきちんと踏むことが重要なのです。
経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
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長尾洋介プロフィール
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