神戸を中心に自ら現場と直接関わりながら、現場力強化を支援しているオフィス・ビブラビの長尾です。
最近注目されているジョブ型雇用は元々欧米にある方式です。
ところで、管理職はジョブなのでしょうか?
日本の会社の管理職は、ほとんどが社内からの昇格です。
社員として優秀な人、成績や成果が上位な人、あるいは一定以上の年次を迎えた人を管理職に任命します。
言い換えると、現場の業務に長けていることが管理職登用の条件です。
ところがジョブ型雇用が中心の欧米では違うようです。
最初から管理職として募集し、採用します。
つまり、管理職も1つのジョブとして扱われています。
管理職として採用されるのですから、現場の業務に習熟しているとは限りません。
少なくとも、その会社での実務経験はありません。
部下の方が、現場の実務については精通しているはずです。
日本はメンバーシップ型雇用が中心です。
その仕組みに慣れている私たちの視点では、実際に管理する部下の仕事のことが分かっていない人には管理職は務まらないと感じて当然です。
しかし、欧米でも機能していないのであれば、管理職をジョブ型雇用の対象にしていないはずです。
では、なぜジョブ型雇用では、管理職もジョブの1つとして扱われ続けるだけ機能しているのでしょうか?
そこには2つの理由があると考えています。
1つ目は、役割分担が明確なことです。
そもそも現場で実務を行うことと管理とでは、求められている果たすべき役割が違います。
役割が違うのであれば、役割ごとに雇用するのがジョブ型雇用です。
そして、社内の制度も、ジョブ型雇用に適合するよう整備されています。
もう1つは、管理職には管理職に必要な知識やスキルがあることです。
ジョブ型雇用が中心の欧米で管理職を採用する場合、管理職に必要な知識やスキルを持っているかどうかも判断の要素になります。
もちろん同じ業界、同じ部門などの管理職経験があり、実績を上げていればプラスに評価されます。
しかし、現場の実務担当者としての経験や実績が評価されて管理職として採用されることは、ほとんどないそうです。
では、メンバーシップ型が中心の日本の会社では、どうなのでしょうか?
役割分担が明確になっているのでしょうか?
管理職を務めるのに必要な知識やスキルがある人を管理職にしているのでしょうか?
管理職候補に、管理職に必要な知識やスキルを学ぶ機会を与えているのでしょうか?
多くの日本の会社では、そもそも管理職に必要な知識やスキルが整理されていません。
管理職に登用された時などに研修を行っている会社は少なくありませんが、欧米が管理職に求めている知識とスキルとを比べると、全く不十分です。
欧米のようにジョブ型雇用の方が優れているとは考えていません。
しかし、管理職は組織の要となる重要な役割を担います。
そのような人が、その職務に必要な知識やスキルを十分に身に着けていないことを良いことだとは思っていません。
管理職がその役割を果たすには、実務経験だけではなく、管理職という役割りを担うからこそ必要な知識とスキルがあります。
このことを理解し、管理職のレベルアップに具体的に取り組んでいるのも、現場力の強い経営者の特長の1つです。
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オフィス・ビブラビのサービス
執筆者、長尾洋介のプロフィール
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経営者の「こんな会社にしたい」の実現を支援することを目指して、
2011年にオフィス・ビブラビを設立しました。
VIVE LA VIE(ビブラビ)はフランス語で「人生万歳」という意味です。
ビジネスの支援を通して、そこに関わる人たちの人生が充実したものになる一助となりたい。
そんな思いでサービスを提供しています。
長尾洋介プロフィール
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