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これも円安が原因?

何枚もの一万円札

オフィス・ビブラビの長尾です。ブログにご訪問いただき、ありがとうございます。

最近、円安の問題がニュースをにぎわせています。その中には疑問のある内容も少なくありません。

円安の水準について伝えるニュースの中で、海外と日本とのラーメンやマクドナルドのビッグマックの値段を比較していることがあります。

例えば、一蘭というラーメン店のお勧めセットが日本では1.900円で頼めるのに、アメリカのブルックリンで食べようとすると7,000円します。マクドナルドのビッグマックは日本では390円ですが、アメリカでは720円です。これが円安が進んだ影響だという報道です。

このニュースを知った時、以前ビッグマックに関して同じようなニュースを見た覚えがありました。それは、ビッグマックの値段は経済成長率が高い所では値段が高く、日本の値段が安いのは経済成長でアメリカなどと比較して後れをとっていることが理由だという内容でした。

調べてみると、1ドル110円くらいであった2018年7月当時であれば、一蘭のラーメンセットは7,000円ではなく5,500円で、ビッグマックは720円ではなく570円でした。確かに円安によって円に換算すると高くなっています。しかし、日本とアメリカとでの値段の差は今進んでいる円安だけの影響ではありません。円安によって差は大きくなりましたが、円安になる前でも、一蘭のラーメンセットは3,600円、ビッグマックは180円高かったのです。今回のニュースを見ると、円安が進む前からあった値段の差も含めて円安の影響だと思ってしまいます。

また、日本の物価上昇は円安の影響であるとする報道が多く見られます。ところが調べてみると、直近のデータでは物価上昇率は日本が2.3%、アメリカが9.1%です。これは円に換算した数字の比較ではありません。円安だけが原因で物価が上がっているわけではないのです。

物価が上がる要因はさまざまです。バブル以前でもそうだったように、経済成長でも物価は上昇します。アジアの通貨危機のように、経済危機の国でも物価は上昇します。

実際、経済成長でもなく、通貨危機もなくてもドル建てで見ても世界の物価は上昇しています。これら以外にも物価上昇の要因は多くあります。

実際に新型コロナ以前から、気候変動や異常気象が原因で農産物価格は高騰しています。新型コロナのパンデミックが始まってからは、中国などからの輸出の停滞によって原材料費が高くなりました。ウクライナ問題が起こってからは穀物価格がさらに高騰しましたし、エネルギー資源も高騰しました。これらは円安の影響ではないのです。にもかかわらず最近の報道を観ていると、最近の物価高は円安以外の原因もあるにもかかわらず、円高の影響だとする報道が多いように感じています。

数字を比較して見せられると、人は信用しがちです。数字より客観的なものはありません。ところが、見せ方、切り取り方によって、見え方は変わります。いわゆる数字のマジックです。

しかし数字のマジックを使って何かを正しいと伝えようとすれば、それは印象操作です。ところが、数字を使った説明は信ぴょう性が高いからこそ、数字のマジックを利用して印象操作をされていることが分かると、逆に強い不信感を生みます。

このような数字のマジックは、至るところで使われています。情報はクリティカルに考えて判断しなくてはなりません。印象操作された情報を元に意思決定を行えば、間違った決定を行う可能性が高くなるからですで。そして、社内に決定内容などを説明する時も、数字のマジックを使って印象操作することを避けなくてはなりません。

情報の真偽の評価も、扱い方も最終的に判断するのは経営者です。社内に決定内容を、どのように伝えるかを決めるのも経営者です。このように経営者は、あらゆる場面で数字のマジックに注意を払わなくてはなりません。

本当に経営者は大変です。だからこそ私は、頑張っている経営者にエールを送り続けたいと思っています。そして支援したいと思っています。

応援しています!

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